「意義ある人生を考える」

ニューヨークで行われた、シューラー・ホールSchuyler Hall学生センター主催の人生講座「日常生活の意味を考える」に、学生や若い社会人が多く参加した。

ニューヨークは世界でも有数の活気に満ちた街です。ところが、何処へ行っても人々は忙しく、人生の意味をじっくり考えたり、充実した人生を送るために何をすべきかを考えたりする余裕がありません。このような人々のため、シューラー・ホール学生センターは、「日常生活の意味を考える」と題した講座を主催し、学生や若い社会人が多く参加しました。

講演したのはデイヴィド・ギャラガーDavid Gallagher教授です。アメリカ・カトリック大学哲学教授で、今はニューヨークで働いています。長年、大学生と付き合ってきた経験から、この講座を思いつきました。「私は、何百人もの大学生と何年も接してきました。学生の多くが、人生の意味をゆっくり考える時間が欲しいと訴えていました。そこで私は考えました。友情、徳、仕事と余暇、そして神など、人生で避けて通れない問題についてガイドラインを示し、学生を助けることができないものか…とね。」

そうして出来たのがこの講座です。講話と質疑応答からなる、5回シリーズです。テーマは、「自由と自己決定−人生プランをつくる」「生きることは真剣勝負−仕事と余暇の両立」「人のために生きる−友情と充実した生き方」「徳を身に付ける−目指す理想像」「神と人生の意味」、以上の五つです。

講話は、机上の空論にならないように、実践的な内容になっています。ギャラガー教授は次のように説明しています。「この講座が、単なる素晴らしい学説の紹介に始終しないように気を付けました。理論には触れますが、目指しているのは、もっと具体的なことです。将来を設計するための精神的な道具を提供して、参加者が自分自身の人生を考えるように励ますことです。『今日から人生に対する見方が変わった!』と言えば大成功です。あるいは、『あるテーマについて、じっくり考えたい』と考え始めたら、しめたものです。」

参加者は、講話と講話の間に思いついた疑問について考え続け、本を読んで調べることができました。また、大きな図書室が開放され、ビクトル・フランクルの『意味を探す人間』、C.S.ルイスの『人間廃止』、トマス・アクィナスの『異端反駁』などが紹介されました。

自由

ニューヨーク大学で数学を専攻するサム・フライドは、この講座から大きな収穫を得て、次のように話してくれました。「自分の人生についてじっくり考え、将来に対して具体的な夢を描くことが出来ました。」会計士のダニエル・リーは、「特に『仕事と余暇の両立』の話がよかったね。おかげで自由時間について一石を投じてくれました。充実した人生を送るために、自由時間を活用することがとても大切だと分かりましたよ」、と教えてくれました。

参加した人の多くは、次に友達を誘って参加しました。どうして人生の意味に関する質問が大切ですか?教授は次のように答えています。「自分の人生について考えない人、自分が何処へ行こうとしているかを知らない人は、周囲の状況に人生を左右されることになります。真の自由とは、外部の状況に左右されないで、自分自身が『決める』ことです。状況に流されるのではなく、逆に自己の意思決定により状況に立ち向かって行くことに、自由の真価が発揮されるのです。」