慢性放射線皮膚炎はどんな病気ですか?

慢性放射性皮膚炎は、きちんとした防護なしにX線の作用の下で長年働く医師などに多い疾患である。

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 この病気は、一般に職業病として扱われている。つまり、職業を遂行した結果、引き起こされる病気で、慢性放射性皮膚炎は、きちんとした防護なしに、長年、X線の作用の下で働く医者に多い。今日ではあまり見られなくなってきているが、数年前は子供を支えながらX線透視法を使って診断する小児科医やX線を使いながら骨折の整復をする外傷専門外科医の間では稀なことではなかった。

 当時のX線検査機器には、X線あるいはレントゲンとも呼ばれている放射線から身を守る手段が十分に備えられていなかった。外傷専門外科医は、レントゲンの照射口とスクリーンの間に患者の手足(受傷した部分)を入れ、スクリーンを見ながら両手で整骨するが、スクリーンの解像度が低く、外科医は照射量を最高にまで上げ、照射時間も長びかさざるを得ない。そのこと自体、患者に大した害は及ばないが、次から次へと常にX線に曝されて整骨をする医者にとっては、そうはいかない。

 いったん放射線が吸収されると、排泄されずに蓄積され、回復不能の細胞組織異常を引き起こす。放射性皮膚炎という名で通っているこの疾患は、慢性で進行性のものである。病気の初期の段階で患者が放射線の影響を受けないようにしたときにのみ自然に治る。

 皮膚科の臨床診断では、この疾患を三段階に分けている。

最第一段階(軽度慢性放射性皮膚炎)では、体毛の欠落、表皮の萎縮に伴う乾燥、色素過剰、シミのような出血斑が見られ、ちょっとしたことにも傷つきやすくなる。しかも、皮膚は簡単に剥離し、指紋はなくなってしまい、小さな潰瘍が見られることもある。

第二度(中度慢性放射性皮膚炎)では、患者が放射線に曝される危険から離れたとしても、どんどん悪くなる疣贅(ゆうぜい・いぼ)や潰瘍が出てくるのが特徴。特に指の両側面や肉質部には、増殖した角質の疵皮(増殖した表皮)が表れる。潰瘍による痛みで手の機能は制限される。増殖性の疣贅(過形成の突出)、毛細血管の異常拡張、皮膚の萎縮、真皮の繊維化といった現象が見られる。

第三度(癌化した重度慢性放射性皮膚炎)では潰瘍と角質の疵皮が悪性化し、皮膚癌になる。特に有棘細胞層や基底細胞層の上皮腫になる。こういった状況が訪れるのは、かなり後になってからのこと、20年から25年ほどX線の長時間に及ぶ過照射を浴びた後になってからのこと。外科的に摘出しなければ、最初はリンパ腺を伝って、次には血流によって転移し、患者の生命を奪うに至る。

 治療は、非常に複雑。もちろん、初期の段階で放射線の照射口から身を引くことが大切だが、実際には、それほど簡単ではない。以前、X線への防護が十分でなかった頃には、この疾患が稀ではなかったが、今では、幸いなことに、少なくとも先進国では技術の進歩と放射線物質の取り扱いに関する法の引き締めによって、こういった慢性放射性皮膚炎はあまり見られなくなってきている。

 疾患が癌化、あるいは癌の前段階の症状を呈している場合、それ以上の進行をくい止めるため、外科手術で根本的に治すことが勧められる。つまり、指の切断、あるいはリンパ腺への転移の度合いにもよりますが、脇や肘のリンパ節摘出も含めた、四肢のさらに広範囲の切除を行う。

 長期にわたる診断用放射線からくる重度の慢性放射性皮膚炎が自然に治った例外的なケースは、一つとしてない。わけても、放射性皮膚炎から進行した類表皮癌が治ったケースはない。