第一章:この世界を愛した司祭 (11.Q03)

1. 私は無価値なみじめな者、しかし価値ある愛で一杯の者 (11.Q03)

  11.Q03 - 聖ホセマリアはご自分の性格を完全なものにしていくために、具体的にどんな面で戦われていたかを、少しでも話していただければ、読者の役に立つと思うのですが。

 11.A03 - 若い時から立派に、自然徳を備えていました。すぐにそして自然に対応できる性格、物事が良く行われていない時や、すべきようにしてないと思えることに対してあからさまに立腹することを欠点として非常に気をつけていました。

いずれにしろ、目立つ欠点になり得たこのような性格は、師の豊かな人格形成のための支えとなり、後程、主が準備しておられたことに立ち向かうために必要な確固たる基になりました。性急さは聖なる大胆さに、直情的な性質は、自分自身には厳しく、他の人には理解を示すことに変わりました。度々、心の奥深くの思いを私たちに打ち明けられました。「あなたたち一人ひとりに迷惑をかけたことがあったら許してください。私の態度で、知りつつも人を傷付けるようなことはしたくない、といつも考えているのは確かです。いずれにしろ、私の振る舞いややり方で誰かを煩わすことがあったとしたら許してください。」

持って生まれた自然な傾きをプラスにするよう戦いました。信念の強さと精力、迅速な決定能力、機智に富んだ独創力、周りの出来事へのすばやい反応力、あるいは様々な難題に答えるときの巧みな話術などです。しかし、自己中心になることはなく、反射的な態度を抑え、主や人々に仕えるにあっては、正しい意向を持って話し、振る舞うよう努めていたのです。

その生涯を見ると、神に向けられた意志と知性が性格を完全にコントロールしていたと確言できます。この勝利は、いつも私たちに手伝うよう頼んでいたとはいえ、絶えず自戒していたことからもたらされたものです。正さずそのままにしていたら、神から離れる機会になるような小さな事をすぐに捨てるよう戦っていました。常に落ち着きを保ち、そのバイタリティー溢れる気質はいつも賢明と剛毅によって均衡が保たれていました。